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【徒然小噺】ひそみに倣う労務の心得――「守りの事務」から「攻めの戦略」へ(2026.1.19)

巨大老舗企業でも、創業以来の「ローカルルール」や「書面なき慣習」が積み重なり、労務現場が疲弊しているケースは少なくない。現場の声は関所が多くて届かず、トップダウンの改革も期待し難い労務管理の要諦は、トラブルの火種を生まぬよう創意工夫を凝らすことでもある。利益を生む「コア業務」とそれを支える「ノンコア業務(人事労務)」は車の両輪。双方強固でなければ、健全走行は叶わない。たとえ10人未満の組織であっても、雇用の開始とともに誤解や不公平の芽は生まれ始める。零細企業ほど、突然の離職やバックペイ請求が経営に与えるダメージは計り知れない労務整備を後回しにすれば、労働意欲の低下や不正の横行、未払い残業代問題、さらには人材流出による組織の空洞化を招く。上場準備の中止や事業承継の失敗、DDの破談といった事態も、自ら招き寄せることになりかねないかつて「すごいベンチャー100」に選出された急成長企業に内部から関わる機会があった。彼らは革新的なビジネスを推進する傍ら、30人規模の段階で既に労務管理の重要性を痛切に説いていた。トップの人脈強化力・人間味溢れる統率技術と幹部の豊かな知見と冷静な即断力があり、志は全社員に共有されていた。皆、輝いていた労務管理の真骨頂は「守り」に非ず。変容する社会に適応しつつ、社員の士気を高め、企業価値を最大化させる「攻め」の戦略として活用することにあろう。こうした若い彼らのひそみに倣うべきではないか。

※実際に受けた質問や相談に関して向き合った諸々を素材にして「新聞コラム形式」で綴りました。

投稿者:山田留理子(特定社労士)

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