【徒然小噺】パート勤務時に発生した年休は、正社員登用後はどう扱われるの?(2025.7.17)

「パート時代に付与された年次有給休暇の残りは、正社員登用後はどう扱われるの?」この問いは意外と多くの職場で未整理のまま転がっている。正社員になって所定労働時間が増えた今、疑問に思うのは当然だ▼まず押さえておきたいのは、雇用形態が変わっただけで雇用契約は継続しているということだ。次に、年休の原則が「日単位の付与・管理」であること。厚労省の通達(基発1228第15号/平成30年12月28日)でも、所定労働時間が変わっても付与済みの年休は「日数単位でそのまま維持する」とされている。たとえば、6時間勤務の頃に3日分の年休があれば、8時間勤務の正社員になっても「3日分」のまま、というわけだ▼ここで「それを丸1日使ったら何時間分支給されるのか?」と疑問が浮かぶ。答えは「足りない分はどうするか、就業規則などで調整する」ことになる。これも厚労省のQ&Aに明記されている。つまり、6時間分の有給を取得済とし、足りない2時間は便宜的に会社が補うのか、欠勤とするのかは、職場次第ということだ▼さらに、平成22年4月1日からは時間単位での年休取得も可能になった。時間管理の余地もあるのだ。ただしこれは労使協定を締結している企業に限り、しかも年5日を上限とする制度。有給の本体はあくまで「日単位」で存在しているという原則は変わらない▼「日数」で受け取ったものは、「日数」で返す。制度は柔軟なようでいて、根は案外まっすぐ律儀だったりするのである。
※実際に受けた質問や相談に関して向き合った諸々を「新聞コラム形式」で綴りました。
※投稿者:山田留理子(特定社労士)