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【徒然小噺】男性育休取得率40.5%の正体(2025.8.1)

男性の育休取得率は、令和6年度の厚労省調査で40.5%に達した。ただし、非取得者も含めた実質的な平均取得日数が約18.5日であることにも目を向けたいある企業説明会で、取得率の高さを誇った人事担当者がいた。だが、学生のひとりが呟いた。「1日でも取ればカウントされるって聞いたけど」。その通りである岸田政権は、2025年度に取得率50%、2030年度には85%という高い目標を掲げた。さらに、今年からは従業員300人超の企業に取得率の公表義務が課され、上場企業には有価証券報告書への記載が求められている。残念ながら、取得日数の公表は任意である「とるだけ育休」という言葉は、2019年に「ママリ」(ママ向けNO.1アプリ)で課題提起された表現だ。育休を取得しながらも家事・育児にほとんど関与しない父親像を皮肉ったものである。家庭とどれだけ向き合ったか——その中身こそが、いま問われているZ世代・ミレニアル世代の多くは、「育児との両立ができる会社」であることを就職先選びの前提条件にしている。つまり、育休取得は「家庭の話」ではなく「採用と経営の話」になったのだZ世代は、企業のSNS・クチコミ・社員の生の声から、数字の〝内訳〟を見にいく。数字で取り繕うのではなく、企業には、「取得がマイナスにならない評価制度」「業務を属人化しない体制作り」「代替要員の確保支援」など、取得後を見越した制度設計が求められる段階にきている。

※実際に受けた質問や相談に関して向き合った諸々を「新聞コラム形式」で綴りました。

※投稿者:山田留理子(特定社労士)

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